仔猫が見せてくれたもの。
先週、中学校の同級生、Kちゃんから突然電話があった。
「夕方、うちに帰ったら、ガレージに仔猫がいるの~。
どうしたらいい?!」
私が猫好きと知って、よく迷い猫だの、捨て猫だのの相談がやってくる。
今回は、まだ目も開いていない乳飲み子だ。
3時間おきくらいにミルクをやったり、
排尿排便を手伝ってあげないといけない年齢の仔猫!(><)
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/sff769aebff23a945/image/i8a36af43e38e7750/version/1624179275/image.jpg)
聞くと、近所の男の子が一旦、もらっていくも、「やっぱり飼えない」とまた戻しにきたらしい。
「まずは大きい箱に入れて、毛布とカイロも入れてあげて。」
とアドバイスした後、
猫ボランディアさんのリストを送ってあげた。
ところがまたすぐ電話がかかってきて、
猫ボランディアさんの電話は全て、つながらなかったらしい。
「どうしよう。うちは家族に猫アレルギーが居るから、家には入れられない」
「じゃあ、とりあえずね、病院に1日、2日だけでも預けた方がいいよ。
その間に、私も友人に聞いたりSNSでも探してみるから」
そう言ってあげても、かなりパニクっている様子。
それもそうだろう。
看護師さんであるKちゃんは、日中はお仕事がてんてこまい。
帰宅するやいなや、夕飯の準備、受験生の子どもの塾の送迎もあり、
猫の里親さがしをする時間なんて、全然ない。
「もう無理。愛護センターにやるしかないかな・・」
「愛護センターは、どうしようもないときだよ。
私も全力であたってみるから、今日のところは病院に預けたら?」
「とりあえずで病院に預けても、いつまで?先が見えない」
「『明日見たら死んでた!』って嫌でしょう?
とにかく今日は、私が病院に連れて行ってあげるから。」
「給料前で金欠だし・・」
「私も半分カンパするから!」
「『猫なんかにお金使って!』て主人にも怒られそう・・」
そのとき私はハッとした。
仔猫目線でしか考えていなかった自分に。
“こんな小さな子の場合、世話をしなければ死んでしまう”
“だからとりあえずでも病院に預けなきゃ!”
そういう思考回路で、全然、Kちゃん目線で考えていなかったのである。
人にはそれぞれの価値観がある。
猫に対する感情も、掛けられる情熱やお金も、人それぞれ違う。
そう気づいた私は、
「そうだね。
じゃあ、精一杯にKちゃんがしてあげられることを
やってあげたらいいと思うよ。
水も自分で飲めないはずだから、スポイトか脱脂綿で飲ませてみて。
そして、あったかくしてあげてね。」
そう言って電話を切った。
それから私も、
猫を飼えそうな幾人かの知人に連絡をとって、妹にも打診してみた。
というのも妹のところは、他の猫が死んで、残った1匹がとても寂しそうにしている、
という話を聞いていたからだ。
けれど聞いてみると、今は猫を増やすつもりはないらしい。
それより、その仔猫をどうするべきかという話になり、
「絶対、病院に連れていくべきだよ」というところに行き着いた。
「私もそう思うよ。私も協力するからって、説得もしたよ」
「お金のことなら○○病院(私が勧めた病院)は高い。
△△病院ならすごく良心的だから、そこならどうかな?」
「うん、でもね、お金の問題もあるかもしれないけれど、ご主人との関係もあるみたい。」
「でも命が一番大切じゃない? ほっとけない!」
「でも、あちらの家庭内にまでは踏み込めないし、
私も、私ができるところまでしか出来ないよ、、、」
そんなふうな「どうするの?」論はヒートアップし、ついにはけんか腰に!
“どこまでこの件に首を突っ込むのか”
という線引きが、妹と私では微妙に違うのだ。
妹は動物に対する愛情が半ぱなく、自己犠牲を払っても助けたいタイプ。
私は自分ができるところまでしかできない、と考えるタイプ。
それは、“優しさ”とか
“ネコ愛の深さの違い”とか
一概に言えないと私は思うのだが、そんな妹だから、私のその考え方が冷たく感じるのは当然だろう。
私だって仔猫のことを考えると、
胸が痛んで、居ても立ってもいられない気持ちなのにな・・
電話を切った後、とても後味が悪く、考えてしまった。
これは何を見せてくれているのだろう?
心の内側に聞いてみた。
最初、「猫が欲しい」ともらっていった男の子は、
そのとき、優しい気持ちが湧いただろう。
看護師のKちゃんは、命と向き合うことを改めて試された。
Kちゃんの娘さんも飼ってくれる友達を必死に探した。
簡単に見捨てるのではなく、“なんとかしてあげたい”という、
自分たちの内なる優しさにも、親子で気づいただろう。
そして私は、自分と人との価値観との違いを見せられ、
価値観の違いを受容することの試練を与えられた。
1匹の仔猫が、
そんな風にみんなを巻き込み、
みんなの心に“気づき”という火を灯した。
そんなことを考えている矢先、Kちゃんからメッセージが入った。
「猫がいなくなった!!!(TT)」
夜になって、大きな箱に移そうと思って見てみたら、
姿が見当たらなくなっていたらしい。。。
****
翌朝、Kちゃんから、
「昨晩は何度も探したけど、結局見つからなかった。
でも、深夜に鳴き声は聞こえた」
とメッセージが入っていた。
ということはやっぱりまだ近くにいる!
放っておくと、衰弱するか、カラスの餌食になりかねない!
私にできることは、精一杯やってみよう!
Kちゃんに、
「留守中、敷地内に入らせてね」と承諾をもらって、
午前中、虫取り網を持って探しに行ってみた。
歩いて15分くらいのところにあるKちゃんの自宅。
向こう三軒両隣さんにも事情を話して、お庭を見せてもらった。
みんないい人たちで、
ネコ避けをしているお隣のおじさんでさえ、
「わしはネコは嫌いなんだけど」と笑って言いつつ、
快く話を聞いてくれ、協力してくれた。
・・でも、1時間ほど探し回ったけれど、結局見つからなかった。
向かえのご夫婦は
「たぶん、親猫が連れていったんだよ」と言った。
確かにそうかもしれない。
生後何日かは分からないけれど、
それまで生きていたということは、親猫が育てていたからに違いない。
人の気配がなくなるのを待って、
夜中にくわえていったのかも。。。
でも、そうではなくて、
もしも死んじゃっていたとしても・・・
それは“運命”ではなく、この子の“使命”だったのかも。
みんな心に優しさを思い出させるという・・・
そんなことを考えながら、歩いていた帰り道、
タイミング良く、行きつけの美容師さんに会った。
昨日からの、ことの顛末を聞いてもらい、
ついでに鬱陶しかった前髪だけ切ってもらった。
ちょうど良かった。さっぱり!
ちょっとスッキリした気持ちで歩いていると、
88ナンバーの車が通り過ぎた。
ぞろ目!
8は横に倒すと無限大のマーク。
“豊かさ”を表す数字だ。
「仔猫のことは心痛んだけど、多くの人の親切と優しさに触れたなぁ」
と、その数字を見ながら思っていると、
次に来た車のナンバーも・・
8888!!!
そうやって、
見えない何か(私はそれを“宇宙”と呼んでいる)は、
いつもそんなふうに、メッセージを送ってくれる。
そして帰りに寄ったスーパーで、
ふと目に入ったピンクと黄色のガーベラ。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=630x10000:format=jpg/path/sff769aebff23a945/image/i48841706e464d08d/version/1624179702/image.jpg)
いつもはピンクの花にはあまり目が行かないのだけど、
なぜか今日は、ピンクの優しい色に惹かれた。
「命が大事!見つかったら教えて!とりあえず私たちが引き取る!!」
と言ってくれた妹夫婦。
同じく引き取ると言ってくれた、Kちゃんの娘さんのお友達。
親身に話を聞いてくれたご近所さんたち。
そしてなにより心を痛め、子猫のことで奔走したKちゃん。
私の周りにいた、多くのハートフルな人たち。
そんな豊かさを感じた、今回の一件でした。
今日も記事をお読みいただきありがとうございました♪
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