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仔猫が見せてくれたもの。

先週、中学校の同級生、Kちゃんから突然電話があった。

「夕方、うちに帰ったら、ガレージに仔猫がいるの~。
どうしたらいい?!」

私が猫好きと知って、よく迷い猫だの、捨て猫だのの相談がやってくる。

今回は、まだ目も開いていない乳飲み子だ。
3時間おきくらいにミルクをやったり、
排尿排便を手伝ってあげないといけない年齢の仔猫!(><)

聞くと、近所の男の子が一旦、もらっていくも、「やっぱり飼えない」とまた戻しにきたらしい。

「まずは大きい箱に入れて、毛布とカイロも入れてあげて。」

とアドバイスした後、
猫ボランディアさんのリストを送ってあげた。

ところがまたすぐ電話がかかってきて、
猫ボランディアさんの電話は全て、つながらなかったらしい。

「どうしよう。うちは家族に猫アレルギーが居るから、家には入れられない」

「じゃあ、とりあえずね、病院に1日、2日だけでも預けた方がいいよ。
その間に、私も友人に聞いたりSNSでも探してみるから」

そう言ってあげても、かなりパニクっている様子。

それもそうだろう。
看護師さんであるKちゃんは、日中はお仕事がてんてこまい。

帰宅するやいなや、夕飯の準備、受験生の子どもの塾の送迎もあり、
猫の里親さがしをする時間なんて、全然ない。

「もう無理。愛護センターにやるしかないかな・・」

「愛護センターは、どうしようもないときだよ。
私も全力であたってみるから、今日のところは病院に預けたら?」

「とりあえずで病院に預けても、いつまで?先が見えない」

「『明日見たら死んでた!』って嫌でしょう?
とにかく今日は、私が病院に連れて行ってあげるから。」

「給料前で金欠だし・・」

「私も半分カンパするから!」

「『猫なんかにお金使って!』て主人にも怒られそう・・」

そのとき私はハッとした。
仔猫目線でしか考えていなかった自分に。

“こんな小さな子の場合、世話をしなければ死んでしまう”

“だからとりあえずでも病院に預けなきゃ!”

そういう思考回路で、全然、Kちゃん目線で考えていなかったのである。

人にはそれぞれの価値観がある。
猫に対する感情も、掛けられる情熱やお金も、人それぞれ違う。

そう気づいた私は、

「そうだね。
じゃあ、精一杯にKちゃんがしてあげられることを
やってあげたらいいと思うよ。
水も自分で飲めないはずだから、スポイトか脱脂綿で飲ませてみて。
そして、あったかくしてあげてね。」

そう言って電話を切った。

それから私も、
猫を飼えそうな幾人かの知人に連絡をとって、妹にも打診してみた。

というのも妹のところは、他の猫が死んで、残った1匹がとても寂しそうにしている、
という話を聞いていたからだ。

けれど聞いてみると、今は猫を増やすつもりはないらしい。

それより、その仔猫をどうするべきかという話になり、
「絶対、病院に連れていくべきだよ」というところに行き着いた。

「私もそう思うよ。私も協力するからって、説得もしたよ」

「お金のことなら○○病院(私が勧めた病院)は高い。
△△病院ならすごく良心的だから、そこならどうかな?」

「うん、でもね、お金の問題もあるかもしれないけれど、ご主人との関係もあるみたい。」

「でも命が一番大切じゃない? ほっとけない!」

「でも、あちらの家庭内にまでは踏み込めないし、
私も、私ができるところまでしか出来ないよ、、、」

そんなふうな「どうするの?」論はヒートアップし、ついにはけんか腰に!

“どこまでこの件に首を突っ込むのか”
という線引きが、妹と私では微妙に違うのだ。

妹は動物に対する愛情が半ぱなく、自己犠牲を払っても助けたいタイプ。

私は自分ができるところまでしかできない、と考えるタイプ。

それは、“優しさ”とか
“ネコ愛の深さの違い”とか
一概に言えないと私は思うのだが、そんな妹だから、私のその考え方が冷たく感じるのは当然だろう。

私だって仔猫のことを考えると、
胸が痛んで、居ても立ってもいられない気持ちなのにな・・

電話を切った後、とても後味が悪く、考えてしまった。

これは何を見せてくれているのだろう?
心の内側に聞いてみた。

最初、「猫が欲しい」ともらっていった男の子は、
そのとき、優しい気持ちが湧いただろう。

看護師のKちゃんは、命と向き合うことを改めて試された。

Kちゃんの娘さんも飼ってくれる友達を必死に探した。
簡単に見捨てるのではなく、“なんとかしてあげたい”という、
自分たちの内なる優しさにも、親子で気づいただろう。

そして私は、自分と人との価値観との違いを見せられ、
価値観の違いを受容することの試練を与えられた。

1匹の仔猫が、
そんな風にみんなを巻き込み、
みんなの心に“気づき”という火を灯した。

そんなことを考えている矢先、Kちゃんからメッセージが入った。

「猫がいなくなった!!!(TT)」

夜になって、大きな箱に移そうと思って見てみたら、
姿が見当たらなくなっていたらしい。。。

****

翌朝、Kちゃんから、
「昨晩は何度も探したけど、結局見つからなかった。
でも、深夜に鳴き声は聞こえた」
とメッセージが入っていた。

ということはやっぱりまだ近くにいる!
放っておくと、衰弱するか、カラスの餌食になりかねない!
私にできることは、精一杯やってみよう!

Kちゃんに、
「留守中、敷地内に入らせてね」と承諾をもらって、
午前中、虫取り網を持って探しに行ってみた。

歩いて15分くらいのところにあるKちゃんの自宅。
向こう三軒両隣さんにも事情を話して、お庭を見せてもらった。

みんないい人たちで、
ネコ避けをしているお隣のおじさんでさえ、
「わしはネコは嫌いなんだけど」と笑って言いつつ、
快く話を聞いてくれ、協力してくれた。

・・でも、1時間ほど探し回ったけれど、結局見つからなかった。

向かえのご夫婦は
「たぶん、親猫が連れていったんだよ」と言った。

確かにそうかもしれない。
生後何日かは分からないけれど、
それまで生きていたということは、親猫が育てていたからに違いない。

人の気配がなくなるのを待って、
夜中にくわえていったのかも。。。

でも、そうではなくて、
もしも死んじゃっていたとしても・・・

それは“運命”ではなく、この子の“使命”だったのかも。
みんな心に優しさを思い出させるという・・・

そんなことを考えながら、歩いていた帰り道、
タイミング良く、行きつけの美容師さんに会った。

昨日からの、ことの顛末を聞いてもらい、
ついでに鬱陶しかった前髪だけ切ってもらった。
ちょうど良かった。さっぱり!

ちょっとスッキリした気持ちで歩いていると、
88ナンバーの車が通り過ぎた。

ぞろ目!
8は横に倒すと無限大のマーク。
“豊かさ”を表す数字だ。

「仔猫のことは心痛んだけど、多くの人の親切と優しさに触れたなぁ

と、その数字を見ながら思っていると、
次に来た車のナンバーも・・

8888!!!

そうやって、
見えない何か(私はそれを“宇宙”と呼んでいる)は、
いつもそんなふうに、メッセージを送ってくれる。


そして帰りに寄ったスーパーで、
ふと目に入ったピンクと黄色のガーベラ。

いつもはピンクの花にはあまり目が行かないのだけど、
なぜか今日は、ピンクの優しい色に惹かれた。


「命が大事!見つかったら教えて!とりあえず私たちが引き取る!!」
と言ってくれた妹夫婦

同じく引き取ると言ってくれた、Kちゃんの娘さんのお友達。

親身に話を聞いてくれたご近所さんたち。

そしてなにより心を痛め、子猫のことで奔走したKちゃん

 


私の周りにいた、多くのハートフルな人たち。
そんな豊かさを感じた、今回の一件でした。

今日も記事をお読みいただきありがとうございました♪

 

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